プラットホームとMerry Xmas!
プラットホーム。
電車の待ち時間は、いつも退屈で。
所在無さげに、限られた区間のホームを彷徨いてしまう。
彷徨いてしまう、自分に嫌気がさすが、その位に電車が来てくれるので、
ヤレヤレと胸をなでおろす。
自動販売機の前で、買い方が判らないようで、困っている女性がいた。
千円札はここから、入れたら良いと伝えたが、
中々、上手く入らない。
結局、僕が、それを入れて、お茶を買い、釣銭を取り、彼女に渡す。
買ったペットボトルのキャップが開けられないそうなので、開けるのを手伝った。
何故か、そのあと道中を共にする中で、随分、沢山の話をしていた。
何故か母の年齢を聞かれ、答えると、
「遅い時の子供なのね。」
僕の年齢を告げると、驚いていた。
男性なのに、髪が長いからか、少しばかり一般社会に暮らす、その年齢の人達が経験している事をせずに、ギターばかり弾いていたからかなと少しの時間、考えた。
彼女が、一番、輝いていた、楽しかった時は、40代の時だったそう。
「高度経済成長期ですね。」
「そう、色んな事が凄い速さで、変わっていった。」
「僕は、今、拙いながら楽器を扱う仕事をしていますが、70年代の楽器には沢山の夢が詰まっているように思います。楽器は時代を反映しますから。」
「今は、どお?」
「うーん..、わからないですね。」
そうこうしているうちに、彼女が降りる駅にたどり着いた。
彼女はこれから、舞台を見に行くらしい。
「がんばんなさいよ。」
別れるときに、そう彼女が言った。
髪を綺麗に纏め括っている彼女の後ろ姿が何故か輝いて小さな背中が大きく見えた。
その言葉が、何故か、印象に残っていて、
最後に僕が,修さんと交わした言葉と同じだった事に後から気付いた。
「じゃあ、行ってきますから。がんばんなさいよ。」
確か、昼過ぎだったと思う。
寒い日だっただろうか、暖かい日だっただろうか。
2019.12.24(tue)
Merry Xmas!
NO ME LLORES MAS
先日、9月24日に、MollyでHoneyを弾きました。
最近、僕は、古い...、特に1960年代の日本製のギターに、とても、魅力を感じています。
Honeyもまた、その中の一本です。
モズライトのコピーモデルを作っていた所の、自社モデルです。
何しろ、倍音成分が豊潤で、本当にIMPROVISEしていて、楽しいんですね。
次の音を、ギターに示唆してもらっているかのようです。
このHONEY、故人であります、田中 修さんがリペアし、修復され、MOLLYの店主が、彼から購入したものです。
正しく調整された1本、1本の弦から、オサムさんの息吹を感じながら。
MOLLYで、雨の中、駆けつけてくれた、オサムさん。
僕のギター教室の発表会。
本式で、弾いて下さった「禁じられた遊び」。
その場に、居た人達から、本当に敬意のある、大きな拍手。
昨日のように、感じます。
「今も、大切に弾いていますよ。」
2019.9.28(sat)
もう一度
もう一度。
最近、そんな事を、最近、不意に思った。
目指した場所へ、もう一度行く事は出来ないのだろうか。
そんな事を、最近、ついつい考える。
その場所は、とても近くて遠くにあり、必死になって、掴もうとすると、スルリと其処から抜け落ちてしまう。
掴もうとした自分すら、無かった事にされてしまう。
何処かへ落ちてしまった、その事を拾おうと探し出すと、気が付けば闇の中にいる。
闇の中に居ることは、心地よく。
この場所で良いとも、思わせる。
でも、これでは駄目だと、また光を探す。
夜の世界で、灯火を探し出し、迷い込む虫たちのように。
光は遠くにあり、其処にはたどり着くことなど、自分には到底、無理だと、
身の丈を知り、自分の居場所を決める。
其処が自分の場所だと、自分自身を納得させる。
其処には日々があり、やはり、人達がそこに居て、日常がある。
努力も必要だけど、必要な練習。
それは、とても楽しくもあって。
初めてのことは、何時だって楽しいものだ。
柳川芳命さんの、其処から、どんなことがあろうとも
決して其処から逃げたりはしない音を聴いていると、心の奥が動かされる。
向き合う事を考える。向き合った後、心が静かに踊り出す。
kei-kの遠い何処かへ突き抜けて行く音を聴いていると、遠い場所へ連れて行ってくれる。はるか遠くの景色の中で、静かに心が狂いだす。
Meg Mazakiさんの音が響くと、彩りの事を考える。不可視だが、完全に不可視では無い色彩のことを考える。Pre-visualな、前視覚的な彩りを。
大江 愛と演奏するとき、勇み足の自分に気付いて、歩調をもう一度、合わせ、今いる場所を確かめる。自分も、他者も支えながら、一歩ずつ。
小林雅典さんの音を聴くと、弦を弾く自分が確かに其処に存在することを思い出させてくれる。いつも、僕が忘れがちな事を、彼の演奏に確かめる。
「もう一度、あの場所へ」
そんな事を最近、良く考える。
もちろんだけど、今の自分であの場所へ。
もう一度。
晴れた日に、道すがら、声をかけてくれた人がいた。
「今日も、忙しそうね。元気そうで何より。」
「今日は、天気が良いから。」
そんなふうに、答えた。
弦の張替えは、いつも悩ましい。
明日は、柳川さんとレコーディングなので、弦の張替えを。
いつもの事ですが、これが意外に、難しい。
張り替える前の弦は...、今回の場合は、1週間前に変えたもの。
スタジオで2回、弾いて、倍音が、ある程度無くなっていて。
でも、チューニングは、安定している。
交換した場合、高次倍音がはっきりと聴こえて、なんせ、ハーモニクスが良い感じ。
でも、張り替えたあと、チューニングを安定させる為の作業が、なんせ、明日が録音なので、作業に追われる。
録音に必要なものは、弦だけではない。
「昨日のうちに、張り替えとけよ。」
「いや、昨日は、忙しかったから。」
「張り替える、時間位は、作れた筈や!」
悩むこと15分くらいの自問自答。
結局、全弦、張替え。
ギンって、鳴って、下の方が、うーって唸ってくれる感じが好きなので。
チューニングを、安定させる為に、あくせく、弦を伸ばしています。
結局、ハープ弦も交換しました。
弦の張替えは、いつも悩ましい。
「寝かされた、二つのレコーダー。」
本当に、久しぶりに、名古屋に遠征。
去年は、数えてみたら、6回、名古屋へ行っていた。
森順治さん(as/fl/b-cl)のツアーの楽日に参加。
柳川芳命さん(a.sax)が、セッティングしてくれて。
Megさん(drums)は、療養中になり、念力で参加。
そんな中、雨宮拓さん(piano)が参加。
そんな、Liveだった。
Live後は、「海月の詩」から、定宿へ。
「レコーダー。ああ、そういえば、自分でも、色々、聴いて、その後の糧にしたいし、珍しくTAPEレコーダーで、録音してたな。」
と、普段はあんまり、自分の録音をしない路地裏の青犬は、何となくだけど、
ついぞ、思い出す。
DUOは、そういえば、初めて共演してから、やってなかった事に、
Live前、話して、僕自身、驚いていたり。
1年半、経って、演奏したDUOをなんせ、
「早く聴きたい。」
という気持ちに駆り立てられた。
僕サイドで感じた事でしか無いけれど、
疾走する演奏の中、試行し、思考するとても、とても、
短い時間の中で、目の前の...意識のほんの少しだけ前だろうか。
考えるよりも、もっと大切な
「今」「此処」が、もっと、もっと、現実的に感じられたDUOだった。
「早く、聴きたい!」
定宿のロッカーへ、TAPEレコーダーを探しに行ったが、
「無い、無い、無い!」
エフェクト、プリペアドの道具、財布等、床にところかまわず、まき散らして、
探していたら、
泊まっていた客に「邪魔だ。」と怒られた。
そりゃ、そうだ。
どうも、「海月の詩」に忘れたらしい。
「海月の詩」に、一晩、寝かされた、同じ音が入っている、レコーダー。
かたや、TAPEレコーダー、かたや、デジタルレコーダー。
鷹と犬が忘れていった二つのレコーダー。
しんと静まりかえった、誰もいない「海月の詩」の店内で、二つのレコーダーは、
誰にも、解らない言葉で、静かに、
会話していたのではないかと、ついつい、身勝手に思ってしまう。
酒は、寝かすというが、録音したレコーダーも寝かしたら、
どうなのだろう。
さて、寝かされていたレコーダー、TAPEの方。
「海月の詩」店主に、郵送していただきました。
(本当に、お手数かけてスミマセン..。)
梱包されて、郵送された、TAPEレコーダー、更に、忘れていた、MUKバッジとMUのCD。
梱包自体に、名古屋、今池、「海月の詩」を、感じながら、ぼんやりと、眺めている
次第です。
「きっと、金曜日に、海月の詩で、レコーダーを取りに来るのでは、ないだろうか。
水曜日に、届いたけれど、少し寝かして、金曜日に聴かないと、
フェアじゃ、無いな。」
そんな事に、思いを馳せながら。
今日は、カタツムリを、沢山、描きました。
tape snail's pace!!
なんだかんだで、金曜日ですし、そろそろ、TAPEを聴こうと思っています。