プラットホームとMerry Xmas!
プラットホーム。
電車の待ち時間は、いつも退屈で。
所在無さげに、限られた区間のホームを彷徨いてしまう。
彷徨いてしまう、自分に嫌気がさすが、その位に電車が来てくれるので、
ヤレヤレと胸をなでおろす。
自動販売機の前で、買い方が判らないようで、困っている女性がいた。
千円札はここから、入れたら良いと伝えたが、
中々、上手く入らない。
結局、僕が、それを入れて、お茶を買い、釣銭を取り、彼女に渡す。
買ったペットボトルのキャップが開けられないそうなので、開けるのを手伝った。
何故か、そのあと道中を共にする中で、随分、沢山の話をしていた。
何故か母の年齢を聞かれ、答えると、
「遅い時の子供なのね。」
僕の年齢を告げると、驚いていた。
男性なのに、髪が長いからか、少しばかり一般社会に暮らす、その年齢の人達が経験している事をせずに、ギターばかり弾いていたからかなと少しの時間、考えた。
彼女が、一番、輝いていた、楽しかった時は、40代の時だったそう。
「高度経済成長期ですね。」
「そう、色んな事が凄い速さで、変わっていった。」
「僕は、今、拙いながら楽器を扱う仕事をしていますが、70年代の楽器には沢山の夢が詰まっているように思います。楽器は時代を反映しますから。」
「今は、どお?」
「うーん..、わからないですね。」
そうこうしているうちに、彼女が降りる駅にたどり着いた。
彼女はこれから、舞台を見に行くらしい。
「がんばんなさいよ。」
別れるときに、そう彼女が言った。
髪を綺麗に纏め括っている彼女の後ろ姿が何故か輝いて小さな背中が大きく見えた。
その言葉が、何故か、印象に残っていて、
最後に僕が,修さんと交わした言葉と同じだった事に後から気付いた。
「じゃあ、行ってきますから。がんばんなさいよ。」
確か、昼過ぎだったと思う。
寒い日だっただろうか、暖かい日だっただろうか。
2019.12.24(tue)
Merry Xmas!